社員が努力しているのであれば、社長の僕も…
2004年から社員に「改善実施報告書」を1人につき月4件提出することを義務付けることにしました。「報告書を出す」ことにフォーカスし、改善の思考を習慣化させたいと考えたのです。報告のレベルは問いません。「質より量」を重視しました。「ゴミを拾った」「汚れた場所を清掃した」など、どんな小さなことでもどんな内容でも改善に1カウントにしました。すると月4件の改善実施報告書が確実に出てきたのです。正直「すごい」と感動しました。
社員が努力しているのであれば、社長の僕も応えなければいけません。休日を返上しすべての報告書に目を通し、改善箇所を見て回り言葉でねぎらい続けました。また月2回表彰式を行い、素晴らしい改善に対しては報奨金を出し褒めたたえ、情報共有する取り組みも行いました。社員が活き活きと取り組んでいることが肌で感じ取れるようになりました。
チームによる改善も推奨するようにしたところ、大きい成果も生まれてきました。3人寄れば文殊の知恵。ひとつの改善に複数人のアイディアが集まれば質の高い効果が期待できます。「相乗り」「便乗」もOKとしました。
気をつけているのは「こんなの改善じゃない」「これはあなたの仕事でしょう」とは絶対に言わないことです。社員一人ひとりの「少しでも良い状態にするために改善する」という気持ちを評価することに主眼を置いています。
営業担当者の中には、お客様に提案したことも実施報告書に記載していいきます。それでいいのです。
(「とってもすてきな社長本。社長編」より抜粋)
「ヨコテン」しても一つのKAIZENに!
とってもすてきな社長本、いかがでしたか?私はこの本を読み、入社12年目にして、TSKのKAIZEN表彰の歴史を知ることとなりました!「仕事を楽しくする」ことから生まれたKAIZEN制度の中で、「ネタ探しに困ってなんかいないで、楽しんでKAIZENしなければ意味がない」とはっと気づかされました。 さて、2023年で20年目を迎えたKAIZEN表彰制度ですが、このようにして小さなことから大がかりなことまで継続して積み上げていくことで、年間2,500件のKAIZENを生み出すまでになっています。
現在のKAIZEN表彰では、社長賞8件と各部門長が推薦した優良賞(20件ほど)が表彰されます。この社長賞と優良賞は工場入り口の掲示板に掲示され、TSK社員のみならず工場見学の方などにも自由に見ていただく場となっています。また、表彰式や掲示板で他の社員の取り組みを知ることで、「横展開」=「ヨコテン」することもTSK社内で定着してきました。前に他部署で表彰された内容でも、自部署に「ヨコテン」してしまえばそれも一つの立派なKAIZENになります!
「このネタ、自分もヨコテンしてみたいのだけれど、どう進めればいい?」
「○○さんにこの台車を設計してもらったから、依頼してみればいいよ」
掲示板前ではKAIZEN話で社員のコミュニケーションが生まれています。
「塵も積もれば山となる」ではありませんが、全社員が提出したKAIZEN提案書はすべて保管されています。近年は電子保管となりましたが、昔はファイリングして全社員が見られるように共有スペースに保管していました。
10年ほど前までは一人一人、個人ファイルにファイリングされていた時期もありました。昔のKAIZEN提案を見返すことで、「こんな取り組みもしていたな」と自分の仕事を振り返るいい機会になっています。